なごやの文化財

志段味古墳群 歴史の里

名古屋市内には約200基の古墳がありますが、そのうちの約70基が守山区上志段味に集中して築かれています。
この志段味古墳群を保存・活用して古代を体感できる場所として「歴史の里」を整備しています。
国史跡志段味古墳群分布図

志段味古墳群 主要古墳の変遷
志段味古墳群 主要古墳の変遷
年表
年表

志段味古墳群の主な特徴

  • 古墳群の側を流れる庄内川は当時の主要な交通路であった
  • 上志段味は庄内川の水上交通と美濃へ向かう陸上交通の結節点であった
  • 重要な交通拠点を管理していることを示すためこの地に古墳が築かれた
  • それらの古墳は古墳時代の全時期400年間にわたって築かれ続けている
  • 前期から後期へと古墳の大きさや形が変化していく様子を見ることができる
  • 時期ごとの古墳を見ることができるので日本の古墳時代の縮図と言える

4世紀 山の王墓

国史跡 白鳥塚古墳

古墳の形
前方後円墳
大きさ
墳丘長約115メートル

志段味古墳群の中で最も大きく最初に造られた古墳です。発掘調査によって、葺石(ふきいし)を重厚に積むこと、葺石の所々に石英(せきえい)を混ぜること、周濠(しゅうごう)や渡土手(わたりどて)があることなど、古墳の姿が明らかになりました。

国史跡 白鳥塚古墳
国史跡 白鳥塚古墳 測量図
国史跡 白鳥塚古墳 石英
石英

国史跡 尾張戸神社古墳

古墳の形
円墳
大きさ
直径約27.5メートル

古墳の形には諸説ありましたが、発掘調査の結果、円墳であることが分かりました。古墳の上に建つ尾張戸神社は、古代豪族・尾張氏の祖先神を祀っており、尾張氏と深い関係をもつ神社です。

国史跡 尾張戸神社古墳
国史跡 尾張戸神社古墳 測量図

国史跡 中社古墳

古墳の形
前方後円墳
大きさ
墳丘長約63.5メートル
出土品
埴輪

発掘調査で、後円部北の谷間から、埴輪列が設置されたままの状態で出土しました。中社古墳と南社古墳から出土した円筒埴輪は、形や三角形の穴をもつことから東海地方最古級のもので、当時の王権の影響を強く受けたものです。

国史跡 中社古墳
国史跡 中社古墳 埴輪列
埴輪列
国史跡 中社古墳 測量図

国史跡 南社古墳

古墳の形
円墳
大きさ
直径約30メートル
出土品
埴輪

前方後円墳とする説もありましたが、調査の結果、円墳であることが明らかとなりました。中社古墳や南社古墳の一部の葺石には麓に多い丸い石が使われており、わざわざ麓から山頂まで運ばれたことが分かっています。

国史跡 南社古墳
国史跡 南社古墳 測量図

5世紀 段丘の古墳群

西大久手古墳

古墳の形
帆立貝式古墳
大きさ
墳丘長約37メートル
出土品
埴輪、須恵器

墳丘の土盛は長い年月の中で削られてしまいましたが、今も周濠の跡が地表に残っています。近年の調査で出土した人や馬形の埴輪は、この地域では最も古く、当時の近畿地方の最新の文化を取り入れたものであることが分かりました。

西大久手古墳
西大久手古墳 測量図
西大久手古墳 鶏形埴輪
鶏形埴輪
西大久手古墳 人物埴輪
人物埴輪

東大久手古墳

古墳の形
帆立貝式古墳
大きさ
墳丘長約39メートル
出土品
埴輪、須恵器

墳丘の土盛りの大半は削られていますが、後円部の一段目の埴輪列は、築造当時の場所で残っていました。円筒埴輪は「尾張型埴輪」と呼ばれる、この頃尾張全域でよく使われたものです。

東大久手古墳
東大久手古墳 埴輪
東大久手古墳 測量図

5世紀 武装する王

国史跡 志段味大塚古墳

古墳の形
帆立貝式古墳
大きさ
墳丘長約51メートル
出土品
五鈴鏡、馬具、甲片(小札)、鉄鏃、大刀、帯金具、革盾片、埴輪、須恵器

大正12年に京都帝国大学の梅原末治氏と地元の人々によって発掘調査が行われ、五鈴鏡や馬具、甲(よろい)や武器など重要な遺物が出土したことから、5世紀後半の代表的な古墳として全国的にも知られるようになりました。近年の調査では、別の埋葬施設が見つかり、革盾も発見されました。

国史跡 志段味大塚古墳
国史跡 志段味大塚古墳 測量図
国史跡 志段味大塚古墳 水鳥形埴輪
水鳥形埴輪
国史跡 志段味大塚古墳 五鈴鏡
五鈴鏡

国史跡 勝手塚古墳

古墳の形
帆立貝式古墳
大きさ
墳丘長約55メートル
出土品
埴輪

勝手塚古墳は、墳丘の高まりだけでなく、周濠や周堤も残り、現在もつくられた当時の様子がよくわかります。出土した円筒埴輪は、5世紀末から6世紀初め頃のもので、この頃尾張全域で使用された「尾張型埴輪」です。

国史跡 勝手塚古墳
国史跡 勝手塚古墳 埴輪列
埴輪列
国史跡 勝手塚古墳 測量図

6世紀 山麓の群集墳

東谷山白鳥古墳

古墳の形
円墳
大きさ
直径約17メートル
出土品
馬具、直刀片、刀子片、須恵器

横穴式石室は長さ7.4メートルで、奥壁・側壁とも比較的小さい石を積み上げています。完全な形で残る市内で唯一の横穴式石室です。

東谷山白鳥古墳
東谷山白鳥古墳 石室
石室
東谷山白鳥古墳 測量図

現在整備中 歴史の里

現在、平成30年度のオープンを目指して「歴史の里」を整備しています。
当時の姿に完全復元する古墳や1500年の時を経た姿のままで見学のための環境整備をする古墳など、残っている古墳の特徴を活かしながら各古墳に適した整備を進めています。
また、併設するガイダンス施設では埴輪作りや勾玉作りなど古代にちなんだ体験活動のほか、発掘調査の研究や最新情報の発信、遺物の展示などを通じて現地の古墳とあわせた総合的な学習・研究を行うことができるようになります。
志段味古墳群歴史の里 完成イメージ